最近の日経新聞の社説は過激ですねえ。
先週の社説で「企業は3つの変革で成長力の強化を」というものがありました。
①「DX」
②「環境」
③「人」
①と②は個別企業に委ねられるところがありますが、③はもう規制でがんじがらめになっていて、日本企業の成長を歪める大きな原因にもなっています。
1月7日の社説にも日本企業が直面する課題は成長力不足の克服だと定義付けされ下記のように書いてあります。
日本企業は働く人の同質性が一種の強みだったが、今後はダイバーシティ(多様性)重視にカジをきる必要がある。
早稲田大学の入山章栄教授が注目するキーワードがイントラパーソナルダイバーシティだ。「個人内多様性」と訳されることが多いが、要はいろいろな経験をした人ほど新たな「知」を創造でき、ビジネスでも成功を収める確率が高まるという。
1月10日の社説にも
もっと通年採用や中途採用が増えなければ、卒業の年で人生設計が左右されかねない。かつて「就職氷河期」が団塊ジュニア世代らを直撃し、結婚・出産の壁を高くしてしまった。
ダイバーシティなんて何年言ってて、それだけ浸透してんだよって話ですが。。。
27年間お世話になった会社も 10年前までは業界の勝ち組と言われ、その要因として まさに「金太郎あめ」的な人材育成も要因の一つに挙げられていました。ただ それが強みとして発揮できたのはもう10年前までで、会社を卒業した今は逆に企業の成長の弊害になっているとしか思えません。
もちろん同じような偏差値の大学を出て、同じような思考をする社員を金太郎あめ的に育成するわけですから、そこから奇想天外の発想やアイデアが出てくるわけもないわけで、新規事業なんて全く育っていませんし、育つわけがありません。
新卒一括採用のように、学生が同じようなリクルートスーツや同じような髪型で就職すること自体がもう甚だ時代遅れ(気持ち悪い)ですし、その22歳の時の「運」だけで、その人が今後 会社にどう貢献するのかも考慮せず、60歳や70歳まで雇用を保証するってのは 企業の成長という観点からどうなんでしょうか?
逆に一度大企業に入れば いくら生産性が低くてもクビを切られる心配もないので、大企業に入ることは ある意味「利権化」しているとも言えるでしょう。
いやー これで日本企業が成長していればいいと思いますが、ここ30年間まったくGDPは成長していませんし、日本のサラリーマンの生産性の低さは先進国でも最低レベルですよね。
しかも社内実業者が400万人もいるというデータもありますし、ヤフーが15歳から80歳までを契約社員として時給で雇用しているほうがよっぽど発展的、独創的なアイデアが生まれるのではないでしょうか?
また 今回のコロナ禍で多くの企業が新卒の採用を絞ってきています。もしあなたのお子さんが就職活動する年であったら悲劇以外の何物でもありません。せっかく高い教育費をかけてそこそこの大学に入れても、新卒一括採用のせいで希望の会社に入れない、希望の仕事につけない可能性も高くなってしまいます。
(昨日 記事にした”国を選べる”ような教育をしていれば こういうリスクもないですが、何のストロングポイントもなくただ早稲田慶応に入れました的なのが一番コスパ悪いですよね)
また今年以降 数年間は就職氷河期世代の誕生ですよね。もう運が悪いとしかいいようがないです。
本人も気の毒ですが、親御さんも気の毒としかいいようがありません。
経団連やトヨタの会長も終身雇用制は維持できないと言っていますし、多くの人が日本経済の成長を阻害するこの3つを廃止、縮小するなど悪しき慣習として廃止していきたいと思っているのでしょうが、政治や行政もしがらみがあって、一向に前に進みません。(中国のように一党独裁だとすぐ進みますが)
でもみんな心の中でこの3つが諸悪の根源だなあと感じているのではないでしょうか。
50歳以上の生産性の低い社員は 問答無用で(人が足りない)企業へ転籍させるなど、「人」に関わる制度の再構築をしていかないと本当に日本企業の成長は 今後も永遠に望めないと思います。
SOMPOホールディングスで4000人が介護事業に転籍した例や、JALやANAなどで今やっている人材のトレード的な動きも 人材の移動の流動化については 今後 どんどん制度化していくべきでしょう。
今の菅さんのリーダーシップでは難しいかもしれませんが、国民に人気で突破力のある河野さんあたりが首相になると 日本企業の成長を阻害するこの3つがあっけなく崩壊する可能性もあるかもしれませんね。
正直 この3つに頼り切った生き方をしていると、それが崩壊し、社会に放り出されたとき、その反動は大きいと思いますよ。
私も大企業勤務でしたが、想像以上に世の中は甘くない(大企業での仕事って本当にパーツの一つで主体的に仕事出来る機会(←これが今の日本人に当事者意識がない決定的理由)が本当に少ないです。私が勤めていた会社だけだといいですが、たぶんどこもほぼ一緒だと思います)ですし、大企業勤務が長ければ長いほどあなたご自身が浦島太郎になっていることは間違いないと思います。
それは私が保証します(笑)
この記事を書いた後 牧野知弘さんの「不動産激変」を読みました。
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彼も、リモートの進展で 企業は 仕事が出来る人、出来ない人の選別が始まっているし、今まで以上により効果測定しやすくなったと書いてあります。
通勤が無い等 確かにリモートが楽なのはわかりますが、企業はコロナ後を見据えて人材の選別を始めていることを忘れてはいけません。
牧野氏は「10年後にはサラリーマンという言葉もなくなるのではないか?」と述べているように、何かのきっかけ(政治?司法?)で今までの安定がガラッと崩れうることも十分視野に入れておかなければならないんだと思います。