NHKの「定年オヤジ改造計画」ご覧になりましたか？
郷ひろみがコミカルな役を演じたので話題になりましたが、これ 働かないおじさんに哀れな将来が到来することを予感した良作品だと思ました。
働かないおじさんは 昭和の遺物である年功序列、新卒一括採用、終身雇用制度が産み落とした怪物です。
このおじさんたちのために、日本のホワイトカラーの生産性が先進国でもっとも低くなり、かつ若者の職場での活躍の場を奪い、日本という国の活力をそいでいるのかもしれません。（国力をそぐ要因の一つであることは事実）
今回の参議院選挙でも雇用の流動化は議論になりましたし、オイシックスラ大地の高島社長も 金銭解雇による人材の流動性を一部でも導入すべきだと新聞紙上で仰ってます。
終身雇用制度で守られ わが世の春を謳歌するこの「働かないおじさん」 ”今”はいいですが、間違いなく悲惨な”将来”が到来するかもしれません。
こういう働かないおじさん もちろん何十年間も同じ会社のことしか知らないですから、ほとんど社外に出て使い物になりません。
しかも大企業出身だけにプライドだけはやたらと高い（笑）
私の前職の人にも、取引先へ就職した人が何人もいましたが、ほとんど上手くいきませんでした。迎え入れる取引先としては、大企業へリーチしたい、でも前職としてはもう定年した人だからあまり関わりたくない。ほとんど売上の拡大ができずほぼ数年で解雇になる例が多かったですね。
唯一の成功した転進例は 全く異業種の一部上場企業の社長さんになられた方がいらっしゃいましたが、異例中の異例なのでしょう。
働かないおじさんの多くは 必然的に社外に活躍の場を設けるのではなく（そもそもチャレンジするという言葉が一番嫌いな人達）、慣れ親しんだ職場に定年後も居座り続けることを望みます。
私の廻りで実際にあった働かないおじさんの例を紹介します。
以前にも記事にしましたが、会議で５年間一度も発言しなかった働かないおじさん。やる仕事と言えば、会議の椅子、机の設営と後片付けと電話の取次ぎ。これで年収９００万。
もちろん この働かないおじさん 職場では極力目立たないようにしていました。
こういう消極的な仕事への取組みが 周りへ悪影響を及ぼすという判断なのでしょうか？定年退職後には自宅から通うのに２時間かかる事業者へ配属になりました。
今でも往復４時間かけて時給１０００円で働いているかなあ。
次に登場するおじさんですが、普通定年退職して給与水準が下がれば、仕事も少し楽になるもの。このおじさんはなぜか営業で仕事を属人化しすぎたため、なんと定年退職後に時給１０００円になっても 同じ仕事をあてがわれました。
このように定年後の再就職では少なからずストレスを感じる職場環境（例えばポストマンみたいな仕事させられるおじさんもいます）になることも多いのかもしれません。
でも新しい環境でチャレンジするより、周りに迷惑をかけようとも、賃金が少なかろうとも楽な仕事がいいんでしょう。働かないおじさんは。
こういう「仕事」面はいろいろな先輩を見ているから想定もできるのでしょう。
問題は「家庭」です。
「定年オヤジ改造計画」でも家庭の問題が多く取り上げられていました。
私の職場でも定年後 心身両面でメンタルをやられる先輩社員を多く見てきました。
読者の方は 夫源病知っていますか？
夫源病（ふげんびょう）とは、夫の言動が原因で妻がストレスを感じ、溜まったストレスにより妻の心身に生じる様々な不定愁訴を主訴とする疾病概念で、医学的な病名では無い。
定年離婚というわかりやすく形の先輩もいましたが、この夫現病は 相当 悩ましいと思います。
何十年（４０年近く！！！）も会社に行ってた人が突然 自宅に居座るんですよ。
それは奥さんや家族にとって 過大なストレスになりますし、ドラマでは３３歳の娘さんが郷ひろみに向かって「あんた 邪魔なんだよ」と言われる場面がありましたが、突然 働かないおじさんに家にいられると 家族の人が相当なストレスを感じるものなのかもしれません。
こればっかりはシミュレーションやるわけにはいきませんので、奥さんが夫源病とかにかかったら大変でしょうね。
会社を無慈悲に放り出され（もちろん誰からも尊敬されることなく）、教育（今日行くところ）も教養（今日の用事）も奪われ、家では奥さんが夫源病になり、家族には邪険にされる。
働かないおじさんは 今はその甘い汁を享受できるかもしれませんが、定年退職後、会社をほっぽり出されてから 本当の試練に直面するのかもしれませんね。
もちろん そんな働かないおじさんを社内で見ている若者はそういったおじさんを参考にすることなく、反面教師にしないと、あなたがおじさんになった時に、突然金銭解雇などが導入されると真っ先に解雇されかねませんので注意が必要なのは言うまでもありません。