このFIRE本は残念

三菱サラリーマン氏の本を読みました。

結論から言うととても残念な本だったと思います。

もちろん30歳で7千万程度で配当生活をするのに無理があることは薄々皆さんお気づきだと思いますし、本書では倹約(本書では「倹約」と述べることに否定的)を推奨されていますが、過度な倹約は人生の楽しみを激減させる可能性があります。

服で言うと ユニクロやジーユーなどが イノベーションでファッションを手軽に楽しめるようにした功績は大きいですが、彼らの業績が右肩上がりになるのと反比例して 日本人が金銭的、精神的に貧しくなっている現実は見逃せませんし、ファッション同様、この数十年間で日本人が思考停止になっている感じがしてしょうがありません。

閑話休題

この歌の影響でドルガバを知り 覚える小学生が多いらしいですが、その親のほとんどはユニクロしか知らない、高級な服を着る、上質なものに触れる”経験がない”のは皮肉な話です。

昔 フリースブームで同じ服を着ていると恥ずかしいという感覚がありましたが、もはやそういう恥ずかしいという感覚も持つことなく、安ければいい、生活費の範囲で買いたい的な志向が日本人のほとんどなんですかね。

FIREした主な手法の米国株やインデックスについては、他に良書がたくさんありますし、サラリーマン時代にそんな仕事をしていない人が書いても全く説得力がないですし、つまんないんですよねえ。(研究室勤務の方が 個別銘柄の話をyoutubeなどでされるのを散見しますが、当然見るに値しないのは言うまでもないことです)

もちろん コロナ禍が長引き 減配の嵐が吹き荒れると FIREの前提が崩れてくるのも間違いありません。

もちろん 頭のいい彼ですから、若者に漂う閉塞感に便乗し、FIREでのブランディングを考えているようですが、この本のアマゾン等での酷評ぶりは彼のブランディングを一から毀損したと言えます。

三菱商事のような大企業を30歳まで勤めても、その若さではほとんど鞄持ちのような仕事しか経験できないでしょうし、マネジメントや重要な仕事はほぼ経験ないでしょうから、もう少し職歴を積んでからのリタイアでも良かったのかなあと私は思います。

あと お世話になった会社を「豚舎」と呼ぶのは 在籍している同期、先輩はどう思うでしょうかね。

(年取って厚生年金どうするんですかね?)

本書で述べるべきは、どうやって資産形成したかではなく、辞める前と辞めた後の心の動き、辞めた後 どうやって生計を立てるかを述べて欲しかった。(←読者はここが一番知りたいところではないでしょうか?)

母子家庭で母親が一生懸命育ててくれて、KOから三菱商事に入るような 親世代にとっては もう完璧な子育て成功物語を子供があっさり捨てることに対して 親がどう思ったのか、等の親子の葛藤を知りたかったです。

親戚の集まりで子供が三菱商事に入ったと言えば お母さん 自慢出来たと思うけどなあ。

アマゾンでの酷評ぶりは今後の日本のFIREにどういう影響を与えるのか興味深いところです。

同じFIRE本の類型で言うと こちらの本の方が 断然 面白かったです。

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王様のブランチで紹介された後、メルカリやラクマであっと言う間に蒸発、売り切れてしまいました。

これ40歳の韓国の人が会社を辞めてのんびりくらそうよ♪ってエッセイ。

まず韓国人というのが興味深いですよねえ。

別に韓国に詳しいわけじゃないですが、幼少期から受験地獄で、有名大学から財閥企業へ就職できなければ人生終わった的 生きるのに閉塞感漂う国のイメージがあります。

おそらく今後の日本も今以上に こういう生きづらい国になるのではないかと思ってます。

挿絵がまたナイスなんです。

自分をすり減らす毎日から抜け出し”自分らしい生き方”に出会える人生エッセイ

今日から必死に生きないと決めた

こうなりたくて 頑張ってきたわけじゃない

何のために頑張っているんだっけ?

「人生マニュアル」を捨てて自分らしく

私だけの人生をうまく描くコツ

たまには年齢を忘れてみる

「ムダ足」こそ、人生の醍醐味だ。

あなたの内面はパンツに表れる

「やらかさなかった」後悔は後を引く

一度くらいは思いのままに

「やりたい仕事」なんて探しても見つからない

仕事にアレコレ求めすぎてない?

「正解社会」に必要なのは多様性

思い通りにいかないほうが正常だ

若い頃には戻れなくていい

何かを失うと 何かを得られる

「俗世の服を脱いだら気分爽快だなあ、少し肌寒い気もするけど」

「遊びたいけど 大義名分が見つからなくてさ」

「失敗したらどうする?」「そう簡単です。思いっきり後悔すればよし」

「夢は大きく思い切り飛び立て!」「僕飛び方を教わってないんですが、国英数を中心に勉強してきたもので」

自殺者も多く 貧富の差も激しく閉塞感漂う国で、肩ひじ張らずに自分らしく生きようよってエッセイです。

実はセミリタ、FIREの要諦はこの本に凝縮されているんじゃないかと思います。

仕事で一緒懸命なんて 40や50のおじさんにはもう無縁な話でしょうが、20代や30代の若者は、一生懸命やっても報われなかったり、そうじゃないよなあと思ったりしたことが一度や二度ではないと思います。

思い通りにいかないことも多く、悩むこともあることも多いと思いますが、そういう人にはお勧めの一冊ですし、三菱さんの本もこういう内面的なアプローチをして欲しかったです。

今まで5部屋売却しましたが、4部屋はノムコムさん。当然買値より高値で売却していただきました。



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コメント

  1. けい太 より:

    色々と共感したので連続でコメントさせていただきます。

    僕もここ数年はユニクロやGUの服ばかりなのですが、先日たまたまデパートの紳士服売り場に行ったらお洒落な洋服や雑貨がたくさん売っていて、もしかしてすごく人生を損しているのではないかと考えさせられました。

    三菱商事を30歳で退職は本当にもったいないですね。大企業だと下積みが終わってこれから仕事が楽しくなるのに。。。手越君みたいによく分からないけど「男として勝負したい!」みたいな熱い感じで会社を辞めるのと違って、辞めること自体がゴールで30歳から老後みたいな生き方は逆に時間がもったいないように感じます。

    • ぴおほう より:

      けい太さん コメントありがとうございます。
      手越くんいいですねえ。ああいう無鉄砲な若さゆえの新しいチャレンジいいのですが、どうもあの本は老成化した若者の本のイメージしか感じなかったです。私も何十年も車を持っていなかったのですが、あと車の乗れるのが20年くらいかあと思うと車が欲しくなりました。あまり節制してお金貯めてもあの世にもっていけないので 少しは散財しなければいけないですね(私の場合は海外で散財していますが)